建築トラブル心得帖
近年こそ【裁判沙汰】ということがあまり珍しくなくなったが、20〜30年前までは一般の日本人は一生涯裁判に無縁の人が非常に多かった。筆者は建築設計家であるが、二十数年以前マンションが一般化して以来、【欠陥マンション】とか【欠陥住宅】とかについて知人は勿論、見ず知らずの人からも相談を持ち掛けられることが多かったし、その中には裁判で争った例もいくつかあったので、いつの間にか建築家仲間では【裁判に強い】と言われるようになってきた。そして1992年には雑誌【日経アーキテクチュア】の依頼を受けて、【建築トラブル心得帖】という題で、前文も含めて16回の連載をした。この時は単に建築家や建築技術者を対象と考えていたのであるが、この2〜3年、この連載記事が縁で建築裁判の相談を受けることが多くなった。そこで上記の連載記事に雑誌掲載時の挿絵を添えて、建築関係者以外の一般の人々、つまり建築紛争の当事者になる人たちが読みやすく、参考になるようにと思って多少の編集を行った。
読者のお役に立てば幸いである。
【“正義”だけでは勝ち抜けない】は日経アーキテクチュアの1992年5月11日号に掲載されたものです。
【建築トラブル心得帖1〜15】は日経アーキテクチュアに1993年の1月〜7月に連載されていたものです。

前書き “正義”だけでは勝ち抜けない
第1回 技術が争点となる裁判では専門的な議論にこだわるな
第2回 設計の不備を監理で補い欠陥建築の発生を防ぐ
第3回 法令違反が決め手にならない建築トラブル裁判の実態
第4回 なかなか結論の出ない裁判と紛争処理委員会
第5回 急いで反論しなければ相手の主張がそのまま通る
第6回 裁判の準備書面では原因よりも結果を強調する
第7回 裁判の準備書面では主張と反論を徹底する
第8回 社長に直訴して解決した欠陥マンション紛争
第9回 弁護士と建築士が共同で分かりやすい準備書面をつくる
第10回 当時者の結束が壊れ失敗に終わった仮処分申請
第11回 経験豊富な弁護士をパートナーに入念な打ち合わせを行う
第12回 事前に作戦を練り証人尋問で証言を引き出す
第13回 「弁護士会による照会」で行政に違法行為を立証させる
第14回 欠陥建築の手直しを拒否する施工者の言い訳
第15回 裁判に比べ迅速な建設工事紛争審査会

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