■ようやく決まった4つの協定
 管理人事務室に帰って、改めて雨漏り個所の数を聞いたが、あまりにも多すぎる。幸い、これまでの経過に関するすべての記録が克明にとってあったので、10日程かけてそれを整理し、雨漏り個所を図面化したのが前々ページの図である。何と延べ197回も漏っている。
 「これじゃあ7棟とも、屋根もバルコニーもすべて全面的に防水をやり直す以外に手はありませんね。中途半端に防水液を塗るようなことは、何百回やっても無意味です。屋根は露出防水だけど、バルコニーはタイルを貼った家もある。しかし、タイルも防水下地もすっかり剥がして、コンクリートの躯体をむき出しにしてから防水屋と工務店担当者に性根を入れた仕事をしてもらえば、間違いなしに雨漏りは止まります。」と断言したら、居住者の皆さんは初めて明るい顔付きになった。
 それから3〜4ヵ月、マンション管理組合の理事会と某工務店の間で交渉が重ねられた結果、次のような協定が成立した。
@ 屋根とバルコニーの防水層を全部剥がしてやり直す。
A そうすれば、防水工事に関しては新築工事と全く同じ条件になるから、10年間の保証書を提出する。
B 修繕工事に対しては、管理組合から井上博設計事務所に監理を委託する。雨漏り以外にも、最初から具合の悪い個所が色々ある。これについても、また修繕工事中に発見されるかも知れない瑕疵などについても、設計もしくは施工に責任ありと井上事務所で判断した場合には、工務店側が無償で修理する。
サイトのトップへ■  ■「欠陥マンションとは何か?」のトップへ■  ←前のページ  次のページ