『今なぜマンション修繕なのか』
建築知識 1986年10月号
はじめに
 2003年の現在から見ると17年も前の話であるが、建築知識という雑誌で1986年の10月号に “集合住宅[修繕計画]のすべて”という特集を組むにあたって、当時マンション問題に積極的に取り組んでいた 一群の先駆的建築家、すなわち田辺邦男氏、星川晃二郎氏、三木哲氏、酒井浩氏、今井俊一氏、井上博のグループに執筆の依頼があった。この5人のグループで相談の上、下記のような分担を決めて、執筆寄稿した。
[特集]
集合住宅[修繕計画]のすべて

計画立案から支障の詳細までを伝授する
今、なぜ「マンション修繕」なのか
井上博
「長期修繕計画」のすすめ
修繕項目・時期と積立金の決め方
田辺邦男
「建物診断」の手順と方法
星川晃二郎
大規模修繕工事の進め方
 1.工程の把握と着工準備
 2.修繕工事の必要事項
 3.改修のための仕様書作成
 4.施工業者選定と工事契約

三木哲
三木哲
酒井浩

酒井浩
ケース・スタディ 4例(星川晃二郎氏、酒井浩氏、今井俊一氏、三木哲氏)
建物診断・大規模修繕の実例
 17年後の今日、この特集号を読み返して見ても、少しも古さを感じさせない内容であることに、改めて一種の驚きを感じている次第である。17年間に全国の集合住宅の戸数は、当時の106万戸から大規模に増加したが、建物の数量増加に比例するような形で、建物の質が向上したとは思えない。 建物の質は、その時々の需要と供給と経済情勢によっての変動が大きい。17年前の文章が現在でもさほど時代遅れと感じられないのは、設計者としては、大変に悲しい気持ちであると言わざるを得ない。
ともあれ、ここに井上博の執筆分を紹介する。
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