■不安の2:溶け込み溶接集中個所の不安
耐震改修指針第202〜206頁よりの抜粋引用
 阪神・淡路大震災における鉄骨造建築物の被害について
 
1.柱梁溶接合のディテール
  1.序(省略)
  2.耐震設計と地震被害概要(抜粋)
・・・・・・構造的被害を受けた建築物では外観上軽微なものから倒壊に至るものまで多種多様の形態を呈している。・・・・・・今回の地震で損傷した中小規模の鉄骨造建物においても接合方法は工場での溶接と現場では高力ボルトによるものがほとんどであり構造形式的には、従来多用された柱梁にH形鋼を用い、筋違を配置する形式が減少し、柱には角形鋼管を、梁にはH形鋼を用いてダイヤフラムを介して柱梁接合部を溶接するラーメン構造が主流である。この仕口部分のディテールは参考図6.1のようになっており、損傷した部位は模式的に図中の1〜7の線で表わせる。・・・・・・この部分は、図から判断できるように3つの溶込溶接の熱影響部が重なる状況となる外、本溶接に先行して行われる裏当金取付用小入熱溶接やエンドタブ取付溶接が急冷却した部位と接近した状態となる。このため靭生の劣化する熱影響部は近接し、かつ変形に寄与すべき母材原長が小さくなる。これらに起因したと思われるこの部位の損傷事例は多発した

参考図6.1 柱梁仕口詳細と破断部位
鑑定人注 同じ設計図で施工しても、施工の良否には大きな巾がある。ここに言う「この部位の損傷事例多発は施工性のよくない物件(本件建物もそうであるが……)の場合であると思われる。」
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