防水工事全くなし 打ちっ放し屋根にルーフドレン打ち込みの日本聖公会小金井教会(東京都小金井市) |
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これが本来の“頼れるRC” 防水なしでも雨漏りなし | |
井上博設計事務所と堀建設がのコンビが築いた10数年の実績 | |
日経アーキテクチュア 1987年(昭和62年)5月18日号 | |
RCの耐久性神話崩壊を憂い、「耐久性を確保するのは何も難しいことではない」、「躯体を分厚くして、低スランプのコンクリートを密実に打てばいい」と提唱し続けてきた構造家・井上博氏の実践編である。堀建設とコンビを組み、防水なしでも雨漏りしないほどのコンクリート建築を10数年前から作ってきた。建築界全体ではこれがなぜ実行できないのだろうか。 外壁打ち放しは珍しくもないが、屋根まで打ち放しで防水層なしという建物も可能である。日頃「壁と床は厚く、スランプは低く!!」と叫び続けている身として、屋根まで打ち放しができるコンクリートの使い方について説明すると共に、設計者と施工者の相互信頼についての私の考えを述べたい。 写真1がその実例、「小金井聖公会」の全景である。十字架のついた鐘楼をいただき、側面に縦長の窓4個を有している部分が聖堂。スパン11.0m×桁行11.5m,棟高8.8mという空間が、厚さ27cmの壁と厚さ20cmの屋根スラブだけで、梁も柱もなしで構成されている。一見したところ軒樋も竪樋も見えないが、軒樋についてはちょっとした仕掛けがある。写真3,4,短計図で分かるように、スラブの端を少し立ち上げて屋根と一体化した軒樋とし、竪樋はごく普通につけている。 写真2は屋根面である。屋根の大きさは、建物四周に1.5〜1.8m張り出した軒庇を含めて幅13m×全長24.3m,厚さ20cm。スランプ13cmの生コンを、打設直後にコテ押さえしただけで仕上げている。 |
![]() ■写真1:「小金井聖公会」の全景 ■写真2:教会の屋根面 スランプ13cmのコンクリートを打設し、その表面をコテ押さえしただけで仕上げている。 |
■写真3: シンプルで長持ちするようにと、軒樋は屋根スラブ端部を少し立ち上げて作った。防水なしのため、失敗しやすい複雑なディテールは不要。 |
■写真4: 分厚い屋根スラブ端部を横から見る。竪樋は、ごく普通につけている。 |
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