■鑑定書 前橋地方裁判所高崎支部
前橋地方裁判所高崎支部御中
鑑  定  書
御庁平成9年(ワ)第●●●号、同第●●●号(原告●●●●外1名、被告株式会社●●外1名)について平成11年9月13日に命ぜられた鑑定命令につき、以下のとおり、鑑定する。
井 上 博
1.鑑定事項1
本件建物における柱と梁の接合部の溶接がいずれも不良溶接であること(裏当て金溶接における裏当て金の欠落・突き合わせ溶接すべき部分における隅肉溶接)を前提として、修復により建築基準法及び関連諸規則に適合するだけの構造耐力を維持した状能に回復することが、理論上可能か否か?
について、考えられる補修方法1),2),3)の3通りを検討する。
1) まず、乙第4号証にて提案されている補修方法について考察する。 本件建物は鉄骨造3階建である。下の図−1にても判るように柱の数は6本である。

図−1
しかし、その6本の柱の1本1本は図−1及び図−2に示すように7つの部材による集合、組立材である。

こうした部材の通常の製作作業は次のように行われる。つまり、ベースプレートを含めてこの7個の部材のそれぞれは鉄骨加工場(今日ではFabricator、ファブリケーターといい、ファブと略称されることが多い)において、組立加工図が書かれ、設計事務所又は工事の元請会社(ゼネコン)の担当者によって図面のチェックを受ける。すべての鉄骨加工図のチェックが完了(もちろん不備の部分が発見された場合は訂正される)すると、次はファブの工場の原寸場という大広間で実物大の原寸図を書き、設計者もしくは監理者及びゼネコン担当者らによって原寸検査を受ける。そして、誤りの個所はその場で訂正するのであるが、或いはは設計図や加工図だけで見ているとうまく納まりそうな部分でも、実物大の図に描いてみると、鉄骨同士の取り合いや、鉄骨と仕上材との取り合い部等がうまく納まらず、そのままでは雨漏りの原因となったり、或いはは地震時に局部的な損傷や小破壊を生じて修理の対象となる可能性のある個所が、原寸図によって発見されることがある。

図−2
すなわち、上部から下部にかけて
RCB (Roofコアブロック)
3C (3階柱)
3CB (3階のコアブロック)
2C (2階柱)
2CB (2階のコアブロック)
1C (1階柱)
BP (ベースプレート)
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